あらゆる業種に「編集部」のススメ
今日は、「編集部」という部署について考えたいと思います。
みなさんの会社では、いわゆる「編集部」、あるいはそれに近い部署は存在するでしょうか。私の会社の場合、メディア企業なので当然のように存在します。私も編集者として、その部署に籍を置いています。しかし、いわゆるマスコミ業やメディア事業を行っていない会社では、存在しないか、あるいはPR部門、広報部門などが同様の作業を担っていることが多いと思います。
ところで、「編集」を本業としていない企業でも、社内外のさまざまなシーンにおいて、「編集」活動は行っています。というより、避けられないものであるといえます。分かりやすいのは、社内報の作成、会社概要の制作、コーポレートサイトの運用などが挙げられます。これらは通常、編集の経験があり、そのノウハウとか、マインドとかを心得ている人たちを中心に作られていることでしょう。あるいは外部のPR会社、制作プロダクションなどにアウトソーシングしている例も多いと思います。
しかし、これらの分かりやすい「編集物」「制作物」以外にも、「編集」されるものは数多くあります。たとえば企画書や仕様書といった書類。どのような要素を選び、どのように各要素を作り、さらにどんな順番でそれらを並べるか。そしてそれは、何を達成するために作るのか。上司さえ納得させればいいのか。あるいは、あらゆるステークホルダーに意図を理解してもらうべきなのか。考えれば、奥の深い作業です。もっと身近な例でいえば、社内連絡に使っているメールの本文も、「編集物」であるといえます。どんな言葉を選べば、相手にうまく伝わるか。どんな言い回しをすれば、相手に良い気分で受け止めてもらえるか。
これら「編集物」を作る際、当然ながら、そこにはノウハウが存在します。これらのノウハウをストックし、研究し、最大の効果を得るために活用していく。そのための専門部署を置くことは、企業にとって非常に有益だと言えるでしょう。そしてこのような活動は、社員個人の技量や志向に委ねるよりも、組織として育てていくことが、企業を発展させる上で重要だといえます。
新聞社、出版社、通信社といったメディア企業でなくても、メーカー、サービス業などあらゆる分野の企業に、専門の「編集部」を置くことをオススメします。